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2021.05.14

コツメカワウソをペットとして飼ってはいけない理由とは?

2021.05.14

新型コロナウイルス感染症拡大防止のための自粛生活が続く中、新たにペットを飼い始めたという方も多いのではないでしょうか?
最近は珍しい生き物をペットとして飼う方もいらっしゃいますが、ペットとして飼うべきではない、飼ってはいけない生き物も中にはいます。そのうちの一種が、「コツメカワウソ」です。
実際にペットとして飼っている方もいらっしゃいますが、少なくともこれからコツメカワウソをペットとして飼うことは決してしないでください。
この記事では、コツメカワウソをペットとして飼ってはいけない理由について解説していきます。ちょっと重い内容になりますが、ぜひ、最後まで読んでいただけたらと思います。

コツメカワウソは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで危急種(VU)に指定されています。
また2019年11月26日から、「CITES(サイテス):絶滅のおそれのある野生動植物の種 の国際取引に関する条約」通称・ワシントン条約の「附属書 Ⅰ(CITES Ⅰ)」に掲載され、絶滅の恐れがある生き物として、商業目的の国際取引が禁止されています。

現在、ワシントン条約に加盟している日本国内でも「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」で守られており、商業取引は原則禁止で、個人間の無償譲渡であっても、コツメカワウソをペットとして譲り渡すことは原則できません。
例外として、既に国内にいる個体、または、国内のペアから生まれた個体は、条件付きで販売や譲渡が可能ですが、国内で飼育されている全てのコツメカワウソは、国際希少野生動植物種として個体登録申請が必要で、その登録票も一緒に譲渡する必要があります。

実は日本は、コツメカワウソの最大の密輸国。国際的に問題視されているのです。
ちなみに、密輸されたコツメカワウソなどを違法に購入した場合、その事実が発覚するとコツメカワウソは没収され、罰則が科せられます。密輸だけでなく、無許可の売買・譲渡は、全て違法になります。

また水族館などで保護飼育されている場合は、近縁を避けて繁殖を試みることもできますが、個人のペットになってしまっては、繁殖が難しくなります。
密輸されたコツメカワウソを購入するのは言語道断ですが、仮に正規ルートの国内譲渡であったとしても、個体数を増やすという観点から、個人のペットとして飼うべきではないのです。

コツメカワウソは、とても活動的な生き物です。そのため、自由に動き回って運動できる広いスペースが必要になります。また水辺の生き物のため、健康のためにも毎日の水浴びは必須。水浴びのためのスペースのほか、環境の整備を徹底的にするべきです。

さらにコツメカワウソは手先が器用なため、ドアを開けるのはもちろん、鍵を開けるのもお手のもの。室内でペットを飼育するなら当たり前のことですが、コツメカワウソがいじったり、壊したりして困るものや、誤って飲み込む可能性のあるものは隠しておくといった対策も必要です。

綺麗好きのためトイレは覚えるそうですが、排泄物の臭いはきつく、縄張り主張のためにいたるところで排尿したりします。

このように、人間の生活空間の中にコツメカワウソの飼育環境を整えるのは、種としての特性や動物福祉の観点からほぼ不可能です。また無監視の時間が長くなることは飼育上問題となるため、仕事などが忙しく、毎日家を長時間空けるといった方には、コツメカワウソの飼育は難しいです。

コツメカワウソの顎の力はとても強力で、カニの甲羅を砕いて食べるほど。
たとえ慣れている飼い主であっても、行動として元々もっているので、怒った時や驚いた時には思いっきり噛まれることがあり、猫などのペット動物とは比べ物にならないほど大ケガをする可能性もあります。飼育するには、動物の行動分析学(トレーニング)を学んでいることも必要です。

万が一飼っているコツメカワウソが病気になった時に、コツメカワウソを専門で診てもらえる獣医師は少なく、病気にならないように飼育することの難しさもあります。
コツメカワウソの寿命は10年から15年程度と言われていますが、実際のところ、動物福祉のレベルの低い飼育環境によってストレスを感じたり、運動不足や栄養不足、コツメカワウソに特に多い腎臓系の病気にかかったりして、平均寿命よりも早く亡くなるペットのコツメカワウソも一定数いるそう。
また野生動物は体調の不良を表に出すことは少なく、与える餌料内容、その食べ方や排泄、ちょっとした仕草などをよく観察し、コツメカワウソの体調に変化がないか、細心の注意を払う必要があります。また日頃から健康をチェックできるような受診動作を、トレーニングによって学習しておいてもらう必要もあります。

ここまでで、コツメカワウソをペットとして飼うことができないことをご理解いただけたでしょうか?
そもそも、現在正規ルートで販売されているコツメカワウソはまずいないため、もしもペットショップなどで見かけたら、密輸か、少なくとも国際希少野生動植物種として個体登録されていないコツメカワウソだと考えた方が良いです。
そして絶対に、密輸されたコツメカワウソには手を出さないで!
コツメカワウソが好きなら、コツメカワウソをペットとして飼いたいと考えるのはやめて、むしろ逆に、コツメカワウソをペットとして飼ってはいけないことを少しでも広めていただけたらと思います。

コツメカワウソに会いたくなった時は、いつでもサンシャイン水族館へ遊びに来てください!
サンシャイン水族館では「やまと」「ジーノ」「マハロ」「ラジャ」「もみじ」「シュリ」「シュラ」「ニコ」の8頭のコツメカワウソが飼育されています。
2020年2月現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、「カワウソ・グリーティングタイム」「カワウソ・プレイングタイム」のイベントは休止しており、触れ合える機会は少なくなっていますが、「カワウソたちの水辺」水槽でコツメカワウソたちに会うことが可能です。

サンシャイン水族館でもっとコツメカワウソについて知ってもらい、野生のコツメカワウソの保全や野生環境について考えていただけましたら幸いです。

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