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2021.10.01

いきものAZ コラム企画『いきものがたり』サンシャイン水族館

2021.10.01

※こちらは過去に【いきものAZ】内で公開されたコラムです。

いきもののスペシャリストに、いきものについてのコラムを書いていただく本企画。

3月5日は、「さん(3)ご(5)」の語呂合わせと3月の誕生石であることから

 「 サンゴの日 」です。

そのサンゴについて知ってもらおうと今回は・・・、

2006年から沖縄県恩納村の協力のもと、サンゴを守る活動をしている、サンシャイン水族館サンゴプロジェクト担当の、今井俊宏さんと、平井愛美さんに「サンゴ」について語っていただきました。

サンシャイン水族館のサンゴにまつわるお話

突然ですが、毎年やってくる3月5日は何の日か知ってますか?

「さん(3)、ご(5)」!

そうです・・・「サンゴの日」です!

3月5日はサンゴの日!

ということで、今回はサンゴのお話をしたいと思います!

サンゴについて語るのは、飼育スタッフ5年目の今井俊宏と、入社1年目の新人飼育スタッフ平井愛美のサンゴチームでお送ります!

それぞれの体験談を、お楽しみください!

まずは、サンゴとちょっとだけ心が通じ合った今井(自称)から、これまでの経験をお話します。

ちなみに好きな食べ物は唐揚げとおにぎりです( ゚Д゚)

サンゴとの出会いは突然でした。私がサンシャイン水族館に入社して2か月が経ったころのことです。

いざ、飼育現場へ配属された時からサンゴの飼育担当でした…。先輩スタッフが指導についてくれたのですが、担当していた水槽の1つがサンゴ水槽だったため、偶然か必然か。とにかく最初からサンゴの飼育担当でした。

そもそもその時は「サンゴってなんや?」と思っていました。

(※言い忘れましたが、日本列島の真ん中の方の出身で、たまに方言が出てきます。ちなみに関西人ではありません。)

(サンゴの撮影記録途中)

 

「サンゴ?さんご?35?」頭の中はこんな感じ。しかし、担当している水槽はサンゴだけではありません。他の生き物の担当水槽もあり、多くのことを一気に教わっていたので、頭の中で整理しながらノートを書いたり、まとめたりしていました。

そもそもサンゴってなに?というところから私は学びました。さんごとは…?

刺胞動物で、イソギンチャクやクラゲも同じ仲間に分類されていて、刺胞と呼ばれる毒をもつ生き物…、「え!?毒をもつ!(驚愕)」・・・みたいな感じでした。

今までは動きのある生き物ばかり見てきたためか、本当に「石・岩にしか見えない」、「生きているのか?」とも思っていました。

そんな動きがないサンゴと今井はもう5年の付き合いになりました…(;’∀’)

さすがに5年も一緒にいればある程度のことが分かってきます。

サンゴという生き物、サンゴの種類、サンゴに必要なものや条件などなど、多くのことを先輩からも自分でも学びました。

とにかくいえることは、サンゴの飼育が難しいということです!

水槽の中で上手に飼育していくために、様々な条件を変えました。いろんな種類の人工海水で試験したり、流れを調整したり、光の調整をしたり…。本当に何かを変えても変えなくても、調子を崩し、最悪の場合死んでしまうサンゴ。

しかし、振り返ってみるとこれまでと比較して、サンゴ飼育技術はとても飛躍したと思っています。それが偶然なのかはわかりませんが、今まで調子を崩すことの多かったサンゴの長期飼育に成功し、成長もしているからです!

なんだか感動しますね!失敗してきたことがうまくいき始めている。多くの失敗から1つのことがうまくいったのかもしれませんが、それをもっと経験を積んで改善を繰り返しながら、サンゴの飼育をしていきたいと思っています。

 

ではなぜ、サンシャイン水族館でサンゴの飼育をしているのか。

サンゴを飼育したかったからですよ!

・・・ではなく、サンゴがとても魅力的な生き物だからです。

魅力その①蛍光色を発色するサンゴ…なんでこんなにきれいにひかるの?と思わせます。

魅力その②サンゴの一斉産卵…年に1度の軌跡!みんななぜ同じタイミングで卵を産むのか?

一部の例しか挙げていませんが、サンゴはとても魅力的な生き物ということを知っていますか?

この貴重な光景を皆さん、見たいと思いませんか?

水族館には生き物の「不思議」など生き物たちがもつ魅力的な生態を伝える役割もあります。

これからも色とりどりの美しいサンゴの魅力や神秘的なサンゴの産卵などを、来館されたお客様に見ていただけるようにもっと技術を磨いていきたいなと思っています。

(サンゴ産卵の様子)

また、自然界でのサンゴの減少は進行しており、最悪の場合、絶滅…なんてこともあるかもしれません。

今、危機に瀕しているサンゴを守るため、サンシャイン水族館はサンゴの保全活動も実施しています!

サンシャイン水族館…すごいでしょ?

ざっくりとした紹介にはなりますが、サンゴ保全活動は2006年から始まり、約20年間活動を続けています!

また2014年にはサンゴの産卵によってサンゴを殖やす活動をスタートしました。

保全活動について、このあと新人飼育スタッフの平井がたっぷりと語ってくれますので、お楽しみに!

ちなみに、私は入社2年目でサンゴプロジェクトの一環で沖縄県恩納村へ初めて行きましたが、当時は失敗ばかりで・・・、心がへこんだことを覚えています…。

しかし、あの経験があったからこそ、いろんなことを考え、動けるようになったのかなと感じています。

私が成長できているのはサンゴのおかげかもしれません。

そんな今井のお話でした。

それでは、平井にバトンタッチです!

平井さん、よろしく~!

今井さん、紹介ありがとうございます!

みなさんこんにちは、サンシャイン水族館の飼育スタッフになったばかりの平井愛美です!

サンゴの知識は人並。趣味はスキューバダイビング。

…実は入社前から沖縄県恩納村のサンゴを養殖している海に潜っていました!

意外とサンゴプロジェクトに縁があった新入社員ですΣ(・ω・ノ)ノ!

さて、今井さんから少しお話をしていただきましたが、サンシャイン水族館では恩納村の協力のもとサンゴプロジェクトを行っています。

その活動の1つにサンゴ返還プロジェクト(恩納村からお借りしたサンゴをサンシャイン水族館で殖やして、恩納村の海に還す)があります。

今回、サンゴ担当1年目の平井がはじめて体験した恩納村での3日間の活動(サンゴの定期メンテナンス)について紹介していきます。

「サンゴは水族館で飼育しているんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、恩納村の海の中でも恩納村漁業協同組合の皆様と一緒にサンゴの育成を見守っています。そのエリアをステーションと呼び、現在は1から7まであります。

さて、ここからは実際のサンゴメンテナンスのお話をしていきます。

まずは、準備について。何事も準備からはじまります。

海に潜る器材の準備から、恩納村の海の環境について調べる機器の準備、サンゴの輸送手配などさまざまな準備を行います。

海の中で作業するので、潜水機材の準備をしましたが、環境について調べる機器の準備と聞いてピンとくる方はどのくらいいますか?

今井もサンゴの飼育環境で苦労したという話をしていましたが、

サンゴの生息環境を調べる理由としては、「流れ」・「光」・「温度」に注目して、サンゴが育ちやすい環境を把握したり、恩納村の環境を水槽でも再現するのに役立てたりしています。

また一方で、自然界でサンゴがダメージを受けたときの環境の状態などを知ることもできます。

(自然環境がサンゴにもたらす影響のイメージ図)

そして、輸送手配は、サンシャイン水族館で殖やしたサンゴを、また恩納村からはお借りする母サンゴやサンゴの幼生(産卵時のみ)を出来るだけ負担のかからない方法で輸送するために行います。

輸送中の温度変化をモニタリングしたり、現地の水温を聞いて水槽の水温を変化させたりもします。

【-Day1-】

サンゴメンテナンスの初日です。

那覇空港に降り立つと、まずは東京との気温差を感じました。恩納村へ到着すると青い空と青い海。南の島に来たな!という実感が湧きます。

まずは恩納村の方々にご挨拶をして、最近の海の様子のことなどを聞いたりします。すると、サンゴを養殖している海域以外のところにも、サンゴが順調に殖え始めているという嬉しい知らせを耳にしました。

これがどういうことかと言いますと、養殖場のサンゴが順調に成長し産卵すると、そのサンゴの子供達がそれぞれ住みやすそうな新天地を探して着底するため、近くの他の場所でもサンゴが殖えやすくなるということです!

(サンゴ増殖メカニズムのイメージ図) 

そして初日は、翌日の潜水作業の準備をした後、ミーティングを行いました。

【-Day2-】

2日目、今日からいよいよ海に入ってサンゴのメンテナンス!

…のはずでしたが、

朝起きて、外の風の音を聞いて…、海の様子を見に行って…、絶望。

昨日までの晴天ベタ凪は一転、強風による高波で、海は荒れ模様。

待てども待てども風と波はおさまらず、むしろひどくなっていき、この日は海に出ることができませんでした。

自然を相手にするということは、思い通りにいかないこともありますね。

【-Day3-】

そして3日目、今日がラストチャンスです。

予定していたよりも短くなってしまった海での作業時間…時間との勝負です。

十分にコミュニケーションがとれない海の中でも、身振り手振りで作業を分担して進めていきます。

具体的な作業内容は、と言いますと…

サンゴの記録写真を撮り、大きさを測ります。この時に状態が良好か、死滅している部分はないかを1群体1群体丁寧に確認します。

(メンテナンス中の様子)

また、サンゴを管理するためにナンバリングしたタグやステーションを示すプレートを設置しています。

このタグやプレートはコケが付きやすく、番号や文字が見えなくなってしまうので、付着した汚れを落とす作業や、タグやプレート自体の交換をします。

(プレートの交換)

そして、測定機器で「流れ」・「光」・「温度」を測定します。

(測定機器の設置中)

植え付けたサンゴの記録写真や大きさのデータは、なんのためにとっているかと言いますと、各ステーションのサンゴたちの成長記録を残すためです。これをたどることで、どんな環境の場所で、どのサンゴが、どのように成長したか確認できるようにしています!

注目している指標以外の影響もありますが、どの種類のサンゴをどこに植え付けたらよく育つか、ダメになってしまうのかも次第にわかってきています。

自然相手、生き物相手のことは、いくら予測を立てて対策を練ってもうまくいかないことがたくさんだと個人的には思いますが、その中でも恩納村で順調にサンゴが育っていることのすごさを感じました。

サンゴの保全の話をしてきましたが、「サンゴがいなくなったら私たちの生活にどんな悪いことがあるの?問題ないのでは?」という意見もあったりしますが、実はサンゴ礁の価値は多岐にわたっています。

例えば、海全体に占めるサンゴ礁の面積は約0.2%にすぎないといわれていますが、海の生き物の約25%の種類がサンゴ礁に住んでいるといわれているぐらい、サンゴ礁は多くの生き物にとってかけがえのない存在です。

そしてサンゴ礁の生き物は、私たちが食べる魚介類であったり、レクリエーション等で見て楽しむ対象になったり、さらには医薬品の原料になったりもします。

一方で、サンゴ礁自体には消波効果もあり、自然の防波堤の役割を担ってくれます。もし防波堤を人工的に作ろうとすると、沿岸1mあたり100-300 万円もするとも言われています!

イチ飼育員として、サンゴ礁の価値を伝えていくと同時に、このサンゴの飼育技術や繁殖技術を引き継いで行きたいと思います!

では今井さん、しめをお願いします!

サンゴの飼育はやはり難しいことばかりで、光の調整や流れの向きによっては、急にサンゴの調子が崩れたりもします。私自身まだまだ出来ていないことばかりですが、先輩たちが培ってきた経験や方法をもとに、いろんな方の指導のもと、これからもたくさんの飼育チャレンジをしていきたいと思っています!

そして、いつかサンゴを展示している水槽で、サンゴが産卵し、その様子を水族館の来場者と共有できたり、そして様々な種類のサンゴを展示することでサンゴの魅力をたくさんの人へ伝えていきたいです。

また、「サンゴ」という生き物のことをこれからも発信し続け、サンゴを苦しめる環境問題と、私たちができる環境保全について知ってもらえるように、活動していきます。

サンシャイン水族館では引き続き、サンゴの保全と啓発活動を推進していきますので、これからも応援、よろしくお願いいたします!

もちろん、平井にも頑張ってもらいます!

最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。

お送りしましたのは、サンシャイン水族館飼育スタッフの今井と平井でした!

サンゴのこと、サンゴプロジェクトのことに興味を持ってくださった方はサンシャイン水族館のサンゴプロジェクト公式HPもぜひご覧ください!

https://sunshinecity.jp/file/aquarium/coral_project/

 

 

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